「うま」は学校がきらい。すずらんのキーホルダーがかわいくて好きだなんて、お母さんにも言えないのに、もっとキラキラしたものを身につけている転校生の男の子「くるむっち」を、クラスのボスたちが「おんな」と呼んで寄ってたかっていじめるし、担任のライオン先生も見て見ぬふり。そんな中、クラスの女の子たちが昼休みになると、みんなどこかへ消えるようになった。男の子たちは「うちゅう人」のしわざだと身構え、全員「ぼうえい軍」に入ることに――。 本当は堂々としていたかった ――女の子でも、男の子でもない「うま」は、クラスの中で自分がどうふるまったらいいのかわからない。それは少年アヤさんの幼少期の記憶と重なる。周囲の人には、男か女か、そうでなければ何者なのかと問われ続けてきた。男でも女でもないという「ノンバイナリー」の考え方にたどりつくまで、それはずっと続いていた。 わたしはずっと、混乱するジェンダーアイデンティ