経済産業省がウェブサイトで原子力発電の必要性を積極的に訴えているが、その中に記載されている欧州の原子力発電に関しては正確でない情報を含んでいる1。原子力発電に有利な情報を選んでいて、必然的にバイアスがかかった内容になっている。本来は日本国民に対して、欧州の最新の状況をバランスよく伝えるべきである。 第1に、フランスが最も優先して取り組んでいるのは、既設の老朽化した原子炉に生じている問題点を解決すること、そして1基だけ建設中の原子炉Flamanville-3を稼働させることである。第2に、ドイツは3カ月半という短い期間の遅れを伴ったものの、2023年4月15日に原子力発電のフェーズアウト(段階的廃止)を実現させる。第3に、EU(欧州連合)が環境面で持続可能な経済活動を分類したタクソノミーにおいて、原子力発電を対象に加えた。ただし放射性廃棄物の処分に関する厳しい条件が課せられている、という重要