相模原障害者施設殺傷事件の容疑者は「重複障害者は生きていても意味がないので,安楽死にすればいい」と供述したという.これに対し,事件後のツイッターには,容疑者の犯行や動機を擁護するような書き込みさえ,複数見られたという.つまり犯人が語った言葉や考え方が,実は社会の深部に根付いたものであることを否定することはできない.では私たちの社会の底流にある,こうした思想を生み出す要因は何なのだろうか? それは,障害者に対する偏見や嫌悪(ヘイトクライム;増悪犯罪)であり,障害の有無を基準に人の優劣を定め,優れた者のみが存在を許されるといった思想(優生思想)であり,経済的価値や能力で人間を序列化し,障害者の存在を軽視し,究極的には否定してしまう恐れさえある社会(新自由主義的な人間観)だと言える.優生思想は過去のものだという批判もあるかもしれないが,我が国において,わずか20年前まで,本人の同意なしに強制的断