先日、NHKラジオ深夜便で「特選:母を語る~なかにし礼さんを偲(しの)んで」作詞家…なかにし礼(2001/08/07放送)」(2021/05/06再放送)を聞いた。 なかにし礼の「赤い月」を読んだのが3年前。終戦時の満州からの逃避行の自伝である。 母親の信念による逃避行で、何とか生き延びて日本に帰ることが出来た。その体験が、氏の人生に大きな影響を与えていたらしい。 <NHK「母を語る~なかにし礼」(2021/05/06再放送)> そして「石狩挽歌」が生まれたことで有名な、兄との葛藤を描いた自伝小説の「兄弟」。 兄は10億円近い借金をして、その大半をなかにし礼が兄に代わって返済したという。その返済能力も大変なものだが、会社を作っては潰して借金を作る、の繰り返しに付き合ったなかにし礼は、理解に苦しむ。 それほどまでに借金を作る兄の心の背景には「墜落願望」があったという。(文春文庫「兄弟p337