真っ赤な表装にデカデカと「中国バブル」というタイトルがふられた本書は、一見するとキワモノ中国本に見えるが、著者の朱寧氏は米国で経済学の研鑽を積み、カリフォルニア大学でテニュアも獲得した本格派の学者であり、本書には2013年ノーベル経済学賞受賞者でもあるロバート・シラー教授(イェール大学時代の著者の同僚)が序文を寄せている。 中国では社債がデフォールト(債務不履行)で紙くずになる、ことはまずない。経営不振の会社はいくらでもあるが、そういう会社が社債の利払いや償還をできそうもなくなると、不思議と肩代わりをしてくれる救い主が現れて事なきを得てきたからだ。 (その社債の発行や販売に関わった)「金融機関は自らの評価を懸念し、監督当局者は出世を気にかけ、政府は社会の安定を重視している」「それゆえ本来投資家が債券類似商品に投資する際に負担すべきリスクは、万一の事態になってもそれらの機関が背負ってくれる」