12月にはノーベル賞の授賞式が行われる。今年は京都大学の山中伸弥さんの医学・生理学賞だ。 ノーベル賞が普通になってきた日本の科学界がまだ手にしていない栄誉がある。元素の発見と命名だ。 これまでに約110種類の元素が知られ、周期表に載っているが、すべてが欧米勢の手柄なのだ。 その新元素の発見を、理化学研究所(埼玉県和光市)がほぼ確実なものとしている。原子番号113の元素「ウンウントリウム」の人工合成に成功したのだ。 今はまだ、「イチイチサン元素」を意味するウンウントリウムの仮称だが、国際的に認められると「ジャポニウム」などといった正式の元素名が理研の研究チームによってつけられる。日本産元素の登録だ。 原子番号は、原子核中の陽子の数だ。1が水素、2がヘリウム、3がリチウムで、中学で覚えた「水兵のリーベ僕の船…」の順に続く。 理研チームは原子番号30の亜鉛と同83のビスマスの原子核をくっつけて1