運送業の許可がない個人運転手に車両を貸与したなどとして、大阪府警は7月、貨物自動車運送事業法違反の疑いで府内の運送会社を摘発したと明らかにした。この会社が導入していたのは、表向き社員として扱う運転手が売り上げから車両代や諸経費を負担する「個人償却制」と呼ばれるシステム。府警は実質的に運送業の許可を得ていない個人運転手とみなした。運送業界で以前からみられる雇用形態だが、警察当局は「過労運転や重大事故につながりかねない」と警鐘を鳴らす。(鈴木俊輔) 府警に貨物自動車運送事業法違反(無許可経営)幇助(ほうじょ)容疑で逮捕されたのは、大阪府吹田市などで運送会社3社を経営する仁(に)田(た)水(みず)誠司被告(58)=同法違反罪で起訴。個人償却制で契約した運転手15人=同法違反容疑で書類送検=を事実上の下請けとして働かせる見返りに、仕事を仲介した手数料を受け取っていたとされる。 仁田水被告の会社