未来に待っている“ひもじさ” / SAFETY JAPAN [書評] / 日経BP社太平洋戦争が敗戦に終わった後の数年、日本は深刻な食糧危機にさらされた。わたしは現在45歳だが、父母は10代で飢えを体験している。子どものころから何度となく「食べるものがなくてね」という昔話を聞かされて育った。かつての日本は、そのほぼ全員が「飢え」という言葉を身体で知っていた。 戦後生まれがとうの昔に人口の過半数となった現代。それでも、アウトドアの趣味を持つ人なら知っているだろう。 「食べ物が足りないことほど切なくつらいことはない。たとえたった半日であったとしても」。 山岳行で悪天候などによりスケジュールが遅延し、食料が不足すると、生き死にを覚悟する事態となる。そこまでいかなくとも、軽い登山でうっかりおやつをポケットに入れたつもりで入っていなかった時、空腹の下山は、つらくて情けない。 あるいは自転車のサイクリングで、「次のコンビニでおにぎりを買おう」などと思ったら、いつまでたっても店
