12月10日、ついに特定秘密保護法が施行された。安全保障にかかわる情報を特定秘密にして、漏洩した公務員らに懲役刑を課すというものだが、疑問視されてきた運用基準はいまも曖昧なまま。しかも、どれが特定秘密なのかを指定するチェック機関は政府内に置かれていることを考えると、国家が恣意的に情報を隠蔽、コントロールし、報道の自由さえ脅かすのがこの法案の本質だ。実際、この法を管理する内閣情報調査室が「海外生活や留学経験者は国家機密を漏らす恐れが高い」などという時代錯誤の見解を出したことでも分かるように、そもそも適正な運用など不可能であることがすでに露呈している。 これを前のめりで進めた安倍晋三首相は、「報道が抑圧されたら、私は辞める」などと大見得を切ったが、その舌の根も乾かぬうちにテレビ局に対し、〈報道の公平中立確保のお願い〉などという脅し文書を出しているのだから、何をかいわんやである。 しかも、秘密保