安倍晋三の、岡崎久彦との対談本を読んでいたら、興味深い発言に遭遇した。以下は、総理大臣の靖国参拝に関する安倍の意見である。 「A級戦犯が合祀をされているから、参拝してはだめだ、けしからん人間だと国が判断するというのは、きわめておかしなことです。例えば賀屋興宣氏も重光葵氏も両氏ともA級戦犯です。しかし彼らは赦免されて、政界に復帰します。賀屋さんは池田内閣の法務大臣、重光さんは鳩山内閣の外務大臣になって、国連に日本が復帰したときの日本代表を務めました。そして重光さんは戦後、勲一等に叙せられています。批判する人たちは、そうした歴史をどうしようというのでしょうか。消すことはできません。 実際、戦後、国民の間から、1952年4月28日に発効した対日講和条約以降も服役しなければならない戦犯の早期釈放を求める声が高まり、日弁連が政府に提出した意見書が皮切りになって、全国から四千万人もの署名が集まります。