はじめに ひと頃盛んに口にされていた「国際化」という言葉に入れ替わるようにして、近年「グローバル化」という言葉が頻繁に用いられてきている。おそらく、国家や国民の単位を前提とした「国際化」という言葉は、インターネットに代表されるような情報化の急速な展開のまえでは、現在の状況やその向かいつつある未来が醸し出すイメージとは幾分そぐわなくなっているのかもしれない。 なるほどたしかに、ヒト・モノ・カネ・情報の動きが、国家によってこれまで明確に区切られてきた物理的、法制度的、経済的なさまざまな境界や障壁をやすやすと横断してネットワーク化されている状況をわれわれはよく眼にしている。あるいは、NGOのような援助組織が文字どおり、国の政府機関の単位を越えてフレキシブルに活動し、その活動資金の調達においても世界市民的な支持の広がりのなかで規模を拡大しているのも周知のとおりだろう。またその一方で、冷戦終結後の世