トルストイ:文読む月日:スラートの喫茶店(ベルナルダン・ド・サン・ピエールJacques-Henri Bernardin de Saint-Pierre) この書物は総勢170人にものぼる聖賢の名言を晩年のトルストイが100回以上の推敲を重ねて6年の歳月を費やして完成させた名著である。その中で、特に感銘を受けたものを引用する。中東における宗教対立は日本人には理解しがたい。宗教・信条の違いをのりこえて、大いなる和解が必要である。 文読む月日(上)318-350(ちくま文庫)より引用: インドのスラートの町に喫茶店があった。そこにいろんな土地からの旅行者や外国人たちが集まって、よくお喋りをするのだった。 あるときにそこにペルシャ人の神学者がやってきた。彼は生涯神の本性の研究を続け、その方面の書物を読んだり書いたりしていた。あまり長いこと神について考えたり読んだりしているうちに、気が変になり、頭