広範囲に冠水した岡山県倉敷市真備(まび)町。県災害対策本部によると、8日午前の時点で冠水した住宅や建物で1千人が取り残されているという。現場の水際では、孤立していた人が次々にボートで陸地へと助け上げられていた。昼夜分かたず、懸命の救助作業が続く。 「何か飲むものはありませんか」 7日午後11時、停電で周囲は暗く、視界に入る住宅の1階部分は水没している。ボートで救助された70代の男性は、かすれた声でこう尋ねた。消防団員から差し出されたペットボトルのお茶を一気に半分ほど飲む。「うまい。ずっと飲まず食わずだったので」 自宅で寝ていると、「体がフワッと浮くような感じ」で目覚めた。1階が浸水し、畳が浮き上がっている。財布や携帯電話を慌てて手にとった。水が腰の辺りまでじわじわ迫ってきたため、2階へ避難した。午前6時前だったという。 2階の窓から外を見ると、茶色い水が一面に広がっていた。「これは駄目だ」