生還の歓喜、絶望、そして 東松島の夫婦 津波に流されたときに着ていた保温防水スーツを広げる安倍さん夫婦=4月30日、大崎市 淳さんのスケッチより。床板に乗ったまま流される2人 ◎津波に流され3メートル四方の板の上に 降り掛かる危機の中で、あるいは九死に一生を得た中で、人は何を思うのだろうか。宮城県東松島市に、約3メートル四方の板に乗ったまま東日本大震災の津波に流された夫婦がいる。震災から2カ月。生き延びた後の歓喜と絶望、後悔を経て、2人は自らの体験を若い世代に語り始めた。(藤田杏奴) ◎あの日/ごう音・衝撃、四つの橋くぐり抜け/上流7キロの土手に立つ <避難迷う> 安倍淳さん(52)、志摩子さん(49)夫婦が経営する潜水土木工事会社と自宅は、鳴瀬川河口から歩いて数分の東松島市野蒜新町地区にあった。3月11日午後2時46分、2人は事務所で地震に遭った。 揺れが収まるとまず、同居する淳さ