いよいよ空襲も始まり、配給物資も逼迫してきた昭和19年頃を境にして、雑誌「主婦之友」は、さまざまな決戦的銃後生活スタイルをしつこくご提案し続けた。特集タイトルをならべるだけで「大東亜戦争」の戦況がうかがえるほどの時局密着ぶりだ。 必勝の防空生活(昭和19年3月号) 戦う育児生活(同年8月号) 敵前生活(同年10月号) 突撃生活(同年11月号) 滅敵生活(同年12月号) 勝利の体当り生活(昭和20年1月号) 勝利の頑張り生活(同年3月号) 一億特攻の生活(同年4月号) 勝利の特攻生活(同年7月号) だんだんと自滅へと向かう青筋の立てかたに、思わず右肩上がりの折れ線グラフを書きたくなってしまうほどだ。個々のタイトルは、人口に膾炙した時局用語に「生活」をくっつけただけのシロモノで、それじしんまったく意味不明なコトバではあるが、無内容な雰囲気を扇動する言霊技術として見れば、まさに「神」の領域に達し