その日はトマトスープを切らしていて仕方なくストックのコーンスープを飲んでいた。旧世代の携帯の模型のような内線がなる。ちぇ、いま熱いスープを口の中に入れたばっかりなのにどうしろって言うんだ。毒づきながらもごもごと僕はその電話に出る。 はたしてインタラプター(皮肉)は人事からだった。OB訪問で学生が来るから相手してくれ。はい?まだ11月ですけど?僕は言いたいことは率直にその場で口にするタイプである。 木枯らしの吹き始めた夕方に久しぶりの本社に踏み入れ若い、作り物の笑顔を僕に向ける学生二人と対峙する。僕はしどろもどろで挨拶をし、自己紹介をする。あとは若い二人でと人事のおじさんは僕を置いてお茶を飲みに行ってしまう。僕は顔をしかめ、学生二人は困惑した顔でそんな僕を見る(多分二人とも自分は勘定に入っていないのではないかと心配したのだろうが、怯えることはない。数に勘案されていないのは僕だ)。 話せと言わ