パナソニックの本社がある大阪府 門真市。オガワ・セイヤさんは週3回、同市の職業安定所に自転車で 通う。息子の大学最終年度の学費や生活費を賄うため、職探しを続け ているからだ。 オガワさん(49)は「もうこういう状況ですから、仕事があれば なんでも良い」と語る。かつて製造業で栄えた大阪市郊外の門真市で、 電子回路基板を組み立てていた。職業安定所に登録してから今月で1 年になる。「失業してから長すぎる。なにか人間性が否定されているよ うな気になってくる」と話す。 オガワさんと息子は、妻と娘の収入が頼りだ。日本ではこのよう な社会的な立場の逆転が広がりつつある。工場や建設会社が人員を解 雇し、女性中心のサービス業が採用を拡大しているためだ。新たに創 出される仕事の平均賃金が低いため、野田佳彦首相はデフレ脱却に向 け消費を刺激しすることが一段と難しくなっている。一家の大黒柱と しての負担が増えてい