ウナギ養殖に欠かせない天然稚魚のシラスウナギの漁獲量が激減し、中国や台湾でも不漁だ。今月上旬、国内でウナギの「完全養殖」が世界で初めて成功したものの、量産までの道のりは遠い。今夏の土用の丑(うし)は安くウナギが食べられるのか。【小島正美】 ヘッドライトで水面を照らし、体長5~6センチのシラスを網ですくい取るシラスウナギ漁。毎冬12月~翌4月、全国の太平洋岸の河口域で行われる。主な漁場は九州、四国、関東だが、今季はどこからも悲鳴が聞こえる。 高知県では四万十川の河口を中心に、3月5日に漁を終えた。県しらすうなぎ流通センターによると、今季の漁獲量は155キログラムと前季の約4分の1。「こんな年は過去にない」と頭を抱える。 宮崎県は3月20日に漁が終了。約40の養殖業者でつくる同県シラスウナギ協議会は「必要量の約4.5トンに対し、取れたシラスは1割程度の545キロ」と肩を落とす。他県産をかき集め