[第20回] 成長なき「優雅な衰退」はありえない 梅澤高明 A.T.カーニー日本代表 日本は、まるで「優雅な衰退」を試みているようだ。人口減少と高齢化に伴う経済の縮小、つまり「衰退」は避けられないが、所得再分配により格差解消を図る「高福祉高負担」型の社会。その中で1人当たり国内総生産(GDP)を維持して「優雅さ」は失わないシナリオだ。 梅澤高明氏 具体的にはこんなイメージだろうか。 大枠では資本主義、自由貿易路線を維持しつつ、中国を始め、アジア諸国との経済的な連携をさらに強化。自動車・電機などの輸出型製造業は、エコカー、太陽電池・蓄電池など「環境対応型製造業」として復活させる。 内需型産業では、医療、介護、育児、教育などのサービス業を効率化・高度化する。大規模法人化や農商連携で農業の再生を進め、食糧自給率の向上と地方経済の下支えに貢献する。 少子化対策で、人口減少には一定の歯止めをかける。