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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/column (10)

  • 中国的歴史認識とポピュリズム

    マレーシア航空機が見つからないままもう1ヶ月半あまりが経った。先週、『ニューヨーク・タイムズ』などをはじめとする欧米メディアから次々と、「中国当局は『破片らしきものが見つかった』だの『遭難機のシグナルを拾った』だのという情報を流したが、どれも根拠の無いもので結局現場を混乱させただけ」という手厳しい報道が流れた。マレーシア機乗客の3分の2を自国民が占めている中国は、なにか先手を打たなければと懸命のようだが、中国捜索船に乗船取材していた、国有通信社の新華社記者が「インド洋で飛行機から発信されている信号を受信!」と真っ先に報道して、今度は「情報をまず報道よりも先に共有する」という共同捜索チームのルールを破ったと叩かれた。 中国はとにかくこれまで捜索でなんの点数も稼げておらず、完全に欧米諸国に遅れを取っており、なんらかの手柄をアピールしたいと焦りがある。「同じ船にうちの記者も乗っていた。だが軍関係

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    airj12 2014/04/27
    マレーシア航空機と商船三井の件のタイミングか
  • 国境紛争を観光化するインド・パキスタン

    今、パキスタンに来ている。 人間文化研究機構が実施するイスラーム地域研究事業の一環で、パキスタンのラホール経営大学で「イスラーム地域研究の新たな地平」と題する国際会議が開催されているのだ。ラホール経営大学との協力関係を作り上げ、日の若手イスラーム地域研究者と、パキスタンの優秀な若手学者の熱気溢れる学術交流と信頼関係を築き上げた早稲田大学の桜井啓子先生の、三日間の国際会議を切り盛りする見事な手腕は、実に感動ものだったが、紛争や国際政治を専門にする者として、それ以上に感銘を受けたことがある。ラホールのパキスタン・インド国境への訪問だ。 インドとパキスタンが、1947年の英領からの分離独立以来、さまざまな国境対立を抱えていることは、周知のことだろう。ラホールの国境のひとつのワーガーという村も、分離独立でふたつの国に分断された場所のひとつだ。そこでは、毎日国境を挟んで国旗降納の儀式が繰り返されて

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    airj12 2014/02/03
    さすがインド
  • 北京の夢

    「ぼく、仕事辞めたよ。大連に行くことにした」 劉くんがぼそっと言った。まさか、と思いつつ、「旅行?」と尋ねたら、「ううん、水曜日に引っ越すんだ。別に持っていくものもないんだけど」と答えた。それを聞いて「やっぱり...」と心のなかでつぶやきつつも、何を言っていいのか思いつかず言葉が出てこなかった。 言葉が見つからなかったのは、劉くんには申し訳ないが、彼が北京からいなくなることがショックだからではなかった。だが、「キミまでもが!」という思いが先走ったからだ。彼自身に何があったのか尋ねる前に、頭のなかを今年すでに北京を離れた知り合いの、さらにそのまた知り合いたちの顔が走馬灯のように横切った。その数をあとで指折り数えたら、もう10人近くもいた。 もちろん、彼らが北京を離れた理由はそれぞれだ。任期切れ、あるいは担当していたプロジェクトが終わった、あるいは結婚転職など、直接の理由だけを見ると、これほ

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    airj12 2013/08/21
    「北京はだんだん生き辛い街になってきた。」
  • 物価と税金:庶民の気持ち

    先日、あるジャーナリストに誘われて会に出席した。そこには著名な時事雑誌の編集長と、ジャーナリストからスポーツグッズ企業の広報に転職し、現在はその企業の副社長という40代、さらに彼らの大先輩に当たる60代の某政府系メディアの論説員が同席した。誘ってくれたジャーナリスト氏もどちらかというと政府系メディアの人なので、無理のない顔ぶれだが、あまり政府系メディア、それもご重鎮のレベルとはご一緒することのないわたしは、ちょっと緊張した。 とはいえ、集まった人たちは昔からの知り合いらしく、あの話この話と、そこにいる異邦人のことを気にするでもなく、持ち込んだ白酒(シロザケ、ではなく、中国北方人が好んで飲むアルコール度40度以上のお酒のこと)を分けあい、賑やかに飲み、い、語り合っていた。そのほとんどが「誰がどうした、彼がどうした」的な業界話だったのだが、興味深かったのは話題が進むうちにスポーツグッズ企業

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    airj12 2013/07/09
    少し前から生活必需品以外は日本より高い印象ではあったけど…
  • 社員旅行で眺めた日本

    5月中旬、友人から携帯にメッセージが届いた。「日では日酒と、冷たいビールと、冷たい牛乳と、冷たいジュースと、冷たい水道水をそのまま飲んでも、わたしのお腹はなんともない! まだまだべたい飲みたいと思うくらい。中国ならそんなことをしたら1日もしないうちにバッタリだわ。ここは当に素晴らしい国!」 中国IT関連企業に勤めるチャンさんは、社員旅行で初めての日滞在中だった。毎日のように彼女から届く写真とメッセージを見て、6日間の滞在を終えて帰国したチャンさんにお願いして仲の良い同僚のシュウさん、モンさん、ビンさんに集まってもらった。チャンさんが得意げに温泉地から送ってきた写真に浴衣と丹前を上手に着こなして仲良く写っていた男性3人組だ。 残業で遅くなる、というビンさんを待たずに、4人で鍋を囲みながらおしゃべりが始まった。 ――旅行に参加したのは何人くらい? シュウ:うちの社員は20人、あと旅

  • アップルの「旨み」

    「神経病!」(キチガイだ!) 周囲の人たちはみんな一言、吐き捨てるようにこう言って顔をしかめた。わたしの知っている限り、彼らの半数以上はアップルのiPhoneiPadのユーザーだ。もちろん、自宅や職場で使うコンピュータがマックだったり、スマホもタブレットも全部アップル製品で統一している人もいる。 だが、顔をしかめたのはそうした「果粉」(「アップルファン」の意。アップル「蘋果」とファン「粉絲」を掛けあわせた造語)だけではない。アンドロイドやウィンドウズPCにこだわりを持っている人たちですら、今のこの騒ぎになんともいえない気分を抱いている。中国でスマホやタブレットを使う人でここ1週間、この騒ぎを話題にしたことがない人はいないはずだ。 「この騒ぎ」とは、前回拙稿「権利とメディア」で触れた「315晩会」以降、激しさを増す「アップル叩き」だ。 3月15日の「世界消費者権利デー」に国営全国テレビ放送

  • アルジェリア拘束事件の背景にあるマリ戦争

    突然の事件に、驚いた。アルジェリアでの日人拘束事件である。 13年前、凄惨な内戦に一応の終止符を打ち、一昨年の「アラブの春」では周辺国で政権が次々に倒れていくのを横目で見ながらも、アルジェリアのブーテフリカ政権は健在だ。反政府デモは少なくないが、原油輸出額は2003年以降急速に伸びていまや内戦時の七倍近く、経済成長率もここ数年2~3%と、悪くはない。今回被害にあった日揮をはじめ、伊藤忠、三井、三菱など、日は70年代から大手商社がアルジェリア向けに大型の建設プラントを輸出してきた。 そのアルジェリアで何故このような事件が起きたのか。それは、隣国マリの状況と連動しているに違いない。マリでは1月11日、マリ北部の反乱勢力を抑えようとする政府軍の要請を受けて、フランスが軍事介入、戦争状態に突入したからである。 マリ戦争の原因は、複雑だ。メディアが伝えるような、「北部=イスラーム過激派=アルカー

  • 日本の治安が最高なのは共同体パワーのおかげ

    今週のコラムニスト:レジス・アルノー 〔12月26日号掲載〕 私の知る限り、大都市なのに安全な街は東京だけだ。東京にいるときは昼も夜も安心し切っている。04年に今の家に引っ越したが、引っ越し早々に家の鍵をなくしたので鍵は掛けず、ノックすらせずに出入りしている。スクーターを駐車してその場から離れるときもヘルメットはシートに置いたままだ。「泥棒が怖くないのか?」と聞くフランス人の友人には、私のヘルメットを盗むほど切羽詰まっている日人がいたら、同じ人間としてヘルメットくらいくれてやるさと答えた。自転車にも鍵を掛けない。それでも無くならないのだから当にうれしくなる。 私は今では3人の子供の父親だ。フランスより麻薬がはるかに手に入りにくく、子供たちが盗まれる側にも盗む側にもなる心配が少ない国に暮らせて幸せだと、毎朝しみじみ思う。 オレオレ詐欺のような犯罪はあるが、フランスに比べればまだましだ。フ

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    airj12 2013/01/09
    犯罪行為へのハードルが高いのは確かにそうかも / フランス怖え
  • 習近平の新時代へ

    とうとう、胡錦濤の時代が終わり、習近平の時代が始まった。5年前の中国共産党の党大会で次期指導者として指導部メンバー入りして以来、その動向が注目され、どのような時代が来るのか、世界中のメディアの憶測を呼んできた習近平。世界の主だったメディアは今回の党大会に先駆けて10月頃から次期指導部を占う予測記事を集中させてきた。 今回習が選出されたのは中国共産党総書記という役職で、完全に胡錦濤の職を引き継ぐのは来年3月に開かれる全国人民代表大会で国家主席に選出されてからである。だが実際にはすでに胡錦濤の陰は一挙に薄くなり、習の動向に人々の目は釘付けだ。前回のこの欄で触れた某ネットユーザーの予測通り、胡は軍の指導権を持つ党軍事委員会トップの職も習に明け渡して「裸退」したため、それも仕方ないが。 実のところその習がどんな人物なのか、まだそれほどよく知られていない。老共産党幹部の子弟「太子党」であることは客観

  • それでも日本は走り続ける

    中国は9月30日の中秋節から国慶節(10月1日)の8連休に突入、それが明けると休み前の反日デモが醸造した重苦しいムードから開放された。そして、日でも連休明けのメディアで話題のノーベル賞が、国際情勢に敏感な中国人ネットユーザーたちの間で注目を集めている。 こんな「フェーズの転換」は11月8日を「X-day」とみなしているだろう中国当局にとってありがたいはずだ。いや、これも計算済みだったのかもしれない。だが実際はノーベル賞を見つめるレベルの人たちは片時も先日の騒ぎを忘れておらず、ノーベル賞が証明する「日中国の差」をはっきり意識しているのだが。 それは一部の日人が想像するような単純な「酸っぱい葡萄」ではない。逆に彼らは数年前の民主活動家、劉暁波の平和賞受賞に歓声を上げた人たちで、「酸っぱい」どころか、先月の信じられないような暴動を苦々しく思っている。あわせてGDP世界2位のこの国に何が足

    airj12
    airj12 2012/10/12
    "消費者"や"所有者"という立場になったなら共産主義の暗黒面への嫌悪感は増すだろうなあ
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