かつて雑誌『現代思想』で1997年5月に編まれた「特集=ストリート・カルチャー」が、日本語環境では「ストリートの政治」という切り口の端緒であるという。筆者はこの号に依頼され原稿を書くには書いたのだが、時差もあって送信が一日遅れてしまって落としていた。デュッセルドルフ近郊の山のなかで催された無許可の野外パーティで一晩踊りたおしたためだった。 その夜の出来事はその後のいろいろを変えた。ストリート、つまり街角に蠢く裏の広がりや動き、それらを醸す気分の律動のようなものを日常に感じるようになったことが大きい。『現代思想』の当時の編集長の考えや姿勢に、だんだん違和やへだたりを感じはじめたのも、この時期であったのは今となっては面白い。 ここでは「ストリート(的なもの)」とは何か? ということについて、あらためて考えてみる。 「ストリートはどこにあるのか?」、あるいは「ストリートはどこへいったのか?」、こ