いまから60年以上前に初飛行した航空自衛隊のT-1練習機。同機は日本が戦後初めて独自に開発した実用ジェット機でもあります。オーストラリア空軍も注目した「日の丸ジェット」の経緯を振り返ります。 YS-11や0系新幹線よりも早く生まれた日の丸機T-1 航空自衛隊浜松広報館(静岡県浜松市)や所沢航空発祥記念館(埼玉県所沢市)には、赤と白に塗られた、まるで“こいのぼり”のような機体が展示されています。一見すると航空自衛隊が初めて装備したアメリカ製のジェット戦闘機F-86F「セイバー」にも似た機体、これは富士重工(現SUBARU)が開発した国産のジェット練習機「T-1」です。 練習機のため、戦闘機と違って機関銃やミサイルなどを装備しておらず、派手な塗装とは裏腹に地味な任務の飛行機でしたが、実は戦後初の国産ジェット機として華々しく誕生し、半世紀近く日本の空を飛び続けた名機でもあります。しかも練習機とし