経済発展を背景に隣国・中国の軍事面の成長は著しく、アメリカにも匹敵する勢いであることは目を逸らせない現実ではないかと思う。しかし一方で、伝わってくる情報は意外と少なく、その実力についてはベールに包まれている部分が多い。 本連載では、自衛隊情報専門官として中国軍を長く見てきた著者に、中国軍の戦闘機に焦点をあてて解説していただく。 そして初回は、アメリカしか実用化していなかったステルス戦闘機とされるJ-20の真贋を見極めていきたい。 米ゲーツ国防長官の訪中時に行なわれたJ-20の初飛行成都航空機工業集団が開発したJ-20の量産型。中国語では殲-20(歼-20)または殲撃20型とも呼ばれる(Photo:SinoDefence/Flickr)2011年1月11日午前、薄曇りの空の下、底冷えのする成都郊外の飛行場の格納庫から、見慣れない機体が引き出された。その航空機は、全体を黒く塗装され、矩形(くけ