2016年3月、19年間勤めた博報堂を退職して、私はオランダへ移住しました。広告の仕事を通じて多くの人と出会い、貴重な経験をさせてもらったこの19年間は広告界にとっては激動の時代でした。仕事のやり方、内容、目的なども大きく変わっていく、まさにデジタル化、グローバル化の進展を肌で感じたエキサイティングな期間でした。そして、また自分自身の環境も大きく変わりました。結婚、転勤、子どもが生まれ、さらに3.11で受けた衝撃。そして第二子誕生に際して取った1年間の育児休暇中にアジアを家族で放浪。今までの価値観が大きく変わり、世界の広さに改めて刺激を受けました。こうした経験を通して、今、オランダに移住することが私にとって必要だと考えた理由をお伝えします。 第一線で働いて気づいた違和感 今からちょうど10年前の2006年、まさに六本木ヒルズの目の前に住んでいた私は、毎晩、消えることのない窓の灯りを見上げて