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ブックマーク / yaneuraou.yaneu.com (17)

  • プロ棋士は将棋ソフトが無くても困らないのか? | やねうら王 公式サイト

    将棋AI界隈に対して、熱量の高い将棋ファンからよくわからない敵意を向けられることがある。 「長い将棋歴史のなかで、将棋ソフトなんか無い時代からプロ棋士は脈々と将棋技術を研鑽してきた。将棋ソフトなんてプロ棋士には全く不要で無くても何も困らない。将棋ソフトは将棋界に寄生するだけの寄生虫の癖にその開発者は偉そうにすんな。」みたいな意見である。 この世から将棋ソフト(将棋AI)がすべて無くなった世界と、いまの世界とを比較するならば、「将棋ソフトが無くてもプロ棋士は困らない」には私も同意する。将棋界はいままでそうして命脈を保ち、歩んできたのだから。 しかし、将棋ソフトは誕生してしまった。誰かが、トッププロより強い将棋ソフトを生み出してしまった。(その経緯についてはここで触れない。) そうすると、将棋ソフトを活用しているプロと活用してないプロとの差が生じる。そして、少しでも速いパソコンで将棋ソフト

    akihiko810
    akihiko810 2024/01/03
    将棋雑誌「将棋世界」で「ソフトがない世界の方がうれしい。研究しんどい」みたいなインタビューがあったが、将棋ファンとしては「ソフトで切磋琢磨してほしい(強くいてほしいから」と思う
  • オセロの必勝法が見つかった件 | やねうら王 公式サイト

    すごいニュースが飛び込んできた。オセロの必勝法が見つかったのだ。正確に言うとオセロが弱解決された。まずはその論文を紹介する。 Othello is Solved : https://arxiv.org/abs/2310.19387 「弱解決(weakly solved)」を簡単に言うと、初期局面からの双方最善手を打つ時の結論(勝敗)がわかったと言う意味である。8×8のオセロの結論は引き分けなのだそうだ。「必勝法が見つかった」と記事のタイトルで書いたが、その結果として双方最善を尽くした時のオセロの結論が引き分けだったことが判明したので正しくは「必勝法(必ず勝てる方法)が存在しないことが証明された」とでも言うべきか。 今回は、初期局面から到達できるあらゆる局面についての結論(勝敗)がわかったわけではない。こちらは「強解決(strongly solved)」と呼ばれる。 弱解決と強解決とでは、

  • 角換りは終わったのかについて1万文字程度で | やねうら王 公式サイト

    先月のゴールデンウィークに行われた第33回世界コンピュータ将棋選手権(WCSC33)で弊やねうら王チームが準優勝したあと(この準優勝は当に準優勝であって、ビールにおつまみで乾杯するという意味ではない)、角換りという戦型について以下のツイートをした。 角交換と言う戦型が終わった。 1886局面の指し手を覚えるだけで先手側は公開されてる水匠(探索局面数は1億までの任意)に対して評価値+300に出来ることが証明された。 大会で上位のソフトは+300から逆転は97%ぐらいありえないので(手数で引分はある)つまりは将棋AIの世界では角交換の後手は必敗。 — やねうら王 (@yaneuraou) May 8, 2023 この前者のツイートにはインプレッションが172万もあり、Yahooニュースや朝日新聞デジタルなど多くのメディアで取り上げられた。 AIで角換わりが終わった? 藤井聡太竜王「こちらの立

  • クラウド最安のGPUについて | やねうら王 公式サイト

    渡辺名人が購入した130万円のパソコン、クラウドでそれと同じ性能のもの、1時間50円で使えるよとツイートしたらえらくバズった。 上のツイートは、決して渡辺名人の研究を揶揄するものではなく、書き方次第で最低にも最高にも聞こえるという、そういう物事の二面性みたいなのって面白いよねという意味でツイートしたわけである。 しかし「クラウドの料金そんなに安くねーだろ」「それってGPUだけの値段ですよね?」「値段一桁間違えてない?」「クラウド使ったことない奴の妄想乙」みたいなツッコミをたくさん頂戴している。

  • 誰もdlshogiには敵わなくなって将棋AIの世界が終わってしまった件 | やねうら王 公式サイト

    いま大会上位に位置するDeep Learning系の将棋AIは、評価関数として画像認識などでよく使われているResNetを用いている。ResNetについては機械学習を齧っている人ならば誰でも知ってるぐらい有名だと思うので、詳しい説明は割愛する。(ググれば詳しい説明がいくらでも出てくる) 囲碁AIの世界では、このResNetのブロック数を大きくしていくのが一つの潮流としてある。ブロック数が多いと言うことは、より層の数が増え(よりdeepになり)、1局面の評価に、より時間を要するようになるということである。それと引き換えに評価精度がアップするから、トータルでは得をしていて、棋力が向上するというわけである。 ところが大きいブロック数になればなるほど学習に要する教師局面の数が増える。学習もブロック数に応じた時間を要するようになるから、そう簡単に大きくはできない。しかし囲碁AIの方は、中国テンセント

  • AlhpaZeroが居飛車を好む件 | やねうら王 公式サイト

    コンピュータ将棋機械学習が導入されたBonanza以降、私はずっと思っているのだが、3駒関係にしても他の駒の配置を暗黙的に仮定しているフシがある。 例えば、居飛車の棋譜からしか学習させなければ、飛車は28の升にあるものと仮定して、そのときに勝ちやすい駒のポジションを学習してしまう。このとき、88玉-78金-77銀という3駒関係を評価しているはずが、実質的に、28の飛車を絡めた4駒関係を評価していることになりかねない。 現在においてプロの棋譜を用いて学習させることはなくなったが、教師局面を生成するために自己対局させるときに、何らかの定跡で進めてからランダムムーブを入れて、そこからの自己対局をさせることがある。この場合、この教師から学習させるとその定跡の局面周辺の局面(において、良い駒のポジション)を学習してしまう。 では、教師局面を生成するときに用いる定跡と、ソフトが強くなったかを評価する

  • 将棋の最善手が初手68玉の可能性 | やねうら王 公式サイト

    スーパーテラショック定跡、先月からさらに150万局面掘れて、合計300万局面になり、定跡ファイルは4GB近くになった。ところが相掛かり系はあまり前回から掘り進んでいなかった。どこが掘れているのかを確認すると初手68玉周辺だった。なんだこれは?私は元奨励会三段のあらきっぺさんに解説をお願いした。 前回記事 : スーパーテラショック定跡、元奨励会三段に見てもらった 将棋の結論は千日手か? 今回、スーパーテラショック定跡は初期局面での結論が評価値0、すなわち千日手となってしまった。よって、なるべく千日手にならない枝を探す必要があった。どの戦型が千日手になりにくいのだろうか? あらきっぺさんの考察 以下、あらきっぺさんの考察である。 今回は、なぜ初手▲68玉をこれほど深掘りしていたのか、という考察に話を絞ります。 【どうも相雁木と相腰掛け銀を嫌がっている】 昨今の相居飛車の主要戦法は、基的に以下

    akihiko810
    akihiko810 2021/12/21
    千日手になりやすい雁木・角換わり腰掛銀を避けてると。なるほど
  • 強い将棋ソフトの創り方、速攻レビュー | やねうら王 公式サイト

    先月の電竜戦(将棋ソフトの大会)で優勝したGCT電竜チームの山岡忠夫さんと加納邦彦さん(共著)の将棋ソフトが12月20日に発売になる。 書籍に掲載されてるソースコードのバグを10分で2つ発見して、山岡さんに報告したので献してもらったぞい!✌ // 明日、詳しいレビューをブログに書きます。 pic.twitter.com/pPJ2f453Ib — やねうら王 (@yaneuraou) December 10, 2021 私は上のツイートにあるように献していただいたので、少しレビューを書いておきたい。 『強い将棋ソフトの創りかた』(Amazon , マイナビ) 書は、cshogi(Pythonから呼び出せる将棋の指し手生成や盤面操作を行うC++で書かれたライブラリ)を用いるので、C++の知識は必要なく、指し手生成や盤面操作の知識もほとんど不要である。 書に掲載されているソースコードは

  • スーパーテラショック定跡が76歩に34歩を全否定 | やねうら王 公式サイト

    前回までのあらすじ) 先手番専用定跡s-book_blackが優秀すぎた。私が2年前に開発したテラショック定跡生成手法では到底太刀打ちできなかった。そこでやねうら王プロジェクトでは、新たにスーパーテラショック定跡生成手法というのを考案し、やねうら王に実装したのであった。 前回記事 : 先手番専用定跡s-book_blackの厚い壁 https://yaneuraou.yaneu.com/2021/11/01/thick-walls-of-s-book_black/ テラショック定跡生成手法のおさらい まず簡単にテラショック定跡手法をおさらいし、何が悪かったのかを書き、今回それをどう改善したのかを書く。 テラショック定跡は与えた棋譜の各局面に対して長い時間をかけて思考させる。1局面につき探索1スレッド×1時間でやっていた。1スレッドにしているのは、将棋ソフトは並列化効率が悪いからで、スレッド

  • 先日の電竜戦、長時間マッチで現れたやねうら王のバグについて | やねうら王 公式サイト

    二日前に電竜戦 dlshogiと水匠の長時間マッチが開催された。 最高峰将棋AIによる長時間対局、プロ棋士3名が解説 : https://yaneuraou.yaneu.com/2021/08/03/long-time-game-by-the-best-shogi-ai/ イベント的には大成功で、多くのニュースメディアでも取り上げていただいたようである。 水匠のバグについて さて、その1局目で水匠がバグと思わしき読み筋が現れた。成れないところに飛車を成るというものだ。水匠の読みの錯覚であり、それによって大きく形勢を損ねて敗北を喫した。 水匠 vs dlshogi、先手番をともに制す(コンピュータ将棋協会blog) : http://blog.computer-shogi.org/denryu-sen_channel_opening-matches_and_conference/ 水匠の探索

  • 俺氏、将棋が二人零和有限確定完全情報ゲームでないことに気づいてしまうwww | やねうら王 公式サイト

    このブログをご覧の方は将棋が二人零和有限確定完全情報ゲームであることはご存知でしょう。これは、ゲーム理論や探索アルゴリズムの教科書にでも載っています。「二人零和有限確定完全情報ゲームって何?」って方は、Wikipediaでも見ていただくことにして話を先に進めます。 零和とは? この「零和」というのは、和が零。英語で言うとゼロサムです。 零和(「ゼロ和」と読むのが一般的だが「レイワ」とも読む):プレイヤー間の利害が完全に対立し、一方のプレイヤーが利得を得ると、それと同量の損害が他方のプレイヤーに降りかかる https://ja.wikipedia.org/wiki/二人零和有限確定完全情報ゲーム つまり、自分が勝ちなら、相手は負け。相手が勝ちなら自分は負け。勝ちを+1点、負けを-1点、引き分けを0のように定めるなら、(ゲーム終局後に)自分と相手の点数を足すと0になる。なので、ゼロサムゲーム

  • 渡辺明名人と東大教授で日本の脳研究の第一人者である池谷裕二先生との対談記事が間違いだらけである件 | やねうら王 公式サイト

    ここまでひどい記事は久しぶりだ。 渡辺明名人の疑問「将棋の初手でこれを指したら負けという“必敗”の手はありませんか?」 脳研究者の答えは… https://number.bunshun.jp/articles/-/846635 この手の対談は、編集側が元の発言とは異なる意図で解釈して、誤った書き方にしてしまうことが多々あるので、誰が悪いのかということはここでは問題としないことにする。ただ、内容が間違いだらけではあるので、ここではそれを指摘するに留める。 14年前のAIは「奨励会1級とか初段ぐらいだった」 池谷 渡辺さんのすごいところは、転換期を迎えた時に「じゃあAIに学んでみるのも面白いかもしれない」と思ったことですね。柔軟な適応力で発想の着火点をスムーズに転換されています。渡辺さんはかなり早い時期からAIと対戦されていましたよね? 渡辺 あれは2007年ぐらいでしたが、まだAIが全然強く

    akihiko810
    akihiko810 2021/01/14
    チェスとチェッカー間違えたってさすがに…
  • 2020年、将棋ソフト界隈のまとめ | やねうら王 公式サイト

    年末なので、2020年の将棋ソフト界隈のことを自分目線でまとめておきたい。自分目線なので全然まとめになってないとは思うけども、その点は御容赦願いたい。 今年は、コロナ禍のために毎年5月のゴールデンウィークに開催されていたWCSC(世界コンピュータ将棋選手権)が開催されなかった。 WCSCは、その代わりに「世界コンピュータ将棋オンライン大会」となり、オンラインで開催され、たややんさんの『水匠』が優勝した。 私(やねうら王チーム)は、このオンライン大会には参加しなかった。賞金もでないことだし(この時点でやる気9割ぐらいダウン)、単純に面倒くさかったからである。 将棋ソフトは何のために作っているのか?とよく尋ねられるのだけど、私の場合、それ自体が楽しいからであって、盆栽いじりにも似たものがあると思う。これは、Aperyの平岡さんも全く同じことを言っている。 最近ちょくちょくapery_rust

  • 新感覚の将棋ソフト『たけわらべ』を期間限定で公開します | やねうら王 公式サイト

    竹部さゆり女流プロデュースの新感覚の将棋ソフト『たけわらべ』を期間限定で公開します。 なんと!評価関数ファイルはありません。 体だけ将棋所かShogiGUIに登録すればすぐに遊べます。 (エンジンオプション等は、やねうら王と同じです。) 現代の最新の将棋ソフトには到底敵いませんが、人間相手だとわりと強いです。 ・KPPT型のように形に対する評価を一切持っていない。 ・利きがすべて。利きだけで盤面を制圧する将棋。 ・見たことのない囲いが頻出する。人間は初見で対応するのは難しい。 ・囲いに対する知識は一切持っていない。 次の画面の後手が「たけわらべ」です。 何この囲い…何この攻め…何これ。こんな将棋負けるのか…なんだこれ。将棋って何…。 みたいなやられ方をします🤮 次の画面も後手が「たけわらべ」です。囲いも攻めも独創的すぎて笑えます。 田舎将棋の強いおっさん(定跡書も何も読んだことがない

  • 過去5年間の将棋ソフトの変遷 | やねうら王 公式サイト

    今年のSDT(将棋電王トーナメント)の開催日が発表になりましたね。11月の11,12日だそうです。参加予定の皆さんの開発は捗っているでしょうか?やねうら王はまだ1㍉も強くなってませんが。 将棋ソフトに興味のあるプログラマの方から「将棋ソフトばっかりずっといじってて飽きないのか」という質問があったのでこの場でお答えしますが、毎年トレンドって変わるんですよね。 SDT1(第一回将棋電王トーナメント)からやねうら王の変遷をざっと振り返ってみましょう。 SDT1 .. Bonanzaの高速化 高速化と言っても並列化もさほどする余地がないので、SSE2/4の命令でガシガシ書いて速くなるわけでもなく、アルゴリズム的に等価な変換を利用して計算量を減らすとという感じでした。コメントがほとんど書かれていないBonanzaのソースコードを解読する作業とパズルを解くような作業の繰り返しでした。ずいぶん頭の体操に

    akihiko810
    akihiko810 2017/08/28
    SDT1(第一回将棋電王トーナメント)からやねうら王の変遷
  • 「将棋に似たゲーム」とは何なのだろうか? | やねうら王 公式サイト

    発端は、橋崇載八段の次のいささか不可解なツイートから。 <電王戦>将棋ソフトが連勝 118手で山崎八段降す(毎日新聞) – Yahoo!ニュース 指さずしてわかってた結果。こういうニュース見て誤解しないでほしいのは、彼は将棋で負けたのではなく将棋に似たゲームで負けただけ、ということです https://t.co/UXlvBKvcC0 — 橋 崇載 (@shogibar84) May 22, 2016 「将棋に似たゲーム」とは何なのだろうか?私には橋八段の真意はよくわからない。というか、このツイートだけでは誰にも正確にはわからないのではないかと思う。 コンピューターの将棋は異質だと言いたいのか、それとも機械と人間とでは条件的にフェアではないと言いたいのか、計算機に人間が敵うはずがないと言いたいのか、人と人とやるのが将棋来の姿でありそれ以外は将棋ではないと言いたいのか、それらをわざとぼ

  • 将棋の探索空間の広さについて | やねうら王 公式サイト

    将棋の探索空間はどれくらいの広さなのでしょうか。 チェスの場合、1手から最終局面までの手順数(探索空間)は10の120乗程度と言われている。将棋の場合は、10の220乗。一度取った相手の駒を使うことができるため、とたんに増えてしまう。囲碁は盤面の広さもあって10の360乗である。 将棋対決・第1回  チェスコンピュータからの応用でもアマ20級 上の記事に見られるような「10の220乗」というのが定説になっています。 ところが、一定以上の棋力を持つプレイヤーに限定する場合、桁違いに狭いというのが私の考えです。10の220乗どころか、10の50乗すらいかないと私は思っています。 やねうら王では探索をしない場合、プロの棋譜との指し手一致率は、以下のようになっています。 Prediction(%) = 43.5828, 64.8331, 75.9408, 82.7774, 87.3075, 90.

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