東京や大阪で昨年、開かれた「表現の不自由展」。昭和天皇の肖像をコラージュした作品を燃やす映像や戦時中の慰安婦を象徴する「平和の少女像」の展示が物議をかもし、開催の是非を巡って紛糾した。ただ、その後も不定期に開催され、今年の夏も京都、名古屋、神戸と続いている。私は昨年7月に大阪で開かれた会場内の様子を取材したが、そこで目にした光景に恐怖や嫌悪感を抱いた。ただそれは、歴史認識や政治イデオロギーの違いから来るものとは全く別物だった。(共同通信社会部) ▽「気持ち悪くて、うーってなりました」 大阪の会場で取材中、慰安婦を象徴する「平和の少女像」の隣に、20歳そこそこの若い女性が座った。するとそこに、中年の男性3人が取り囲むように陣取り、勝手に撮影を始めた。私は像の脇にいたが、女性の背中がこわばって見えた。近くの壁には「となりに座る方の写真は本人の了承なしに撮らないでください」と書かれた張り紙があっ