『B級学【マンガ編】』(海拓舎)で、唐沢俊一は『ルパン三世 カリオストロの城』のストーリーは矛盾だらけであると書いている。P.257〜258より。 まず、冒頭、カジノを襲ったルパンと次元が、その札がニセ札であると見抜き、そのニセ札原版をねらってカリオストロ公国へ向かう、というシーン。ストーリーの中に主人公がからんでいく重要な動機づけのシーンだが、ここで宮崎は観客サービスとして、奪ったニセ札をルパンが盛大に車中から道路にまき散らす、という演出をしている。 ここでまず、当時の私はひっかかった。 理屈で考えれば(その当時はまさに理屈を必死で考えたのであるが)、世界的怪盗である主人公がわざわざ危険を犯して盗みにいこうとするほどのものである以上、その物件は主人公の価値観念に照らして、かなり高い位置を占めるものでなくてはならないはずだ。そうでなければ、この後のストーリーに緊迫感は生まれない。にも関わら