至高の存在というのは、誰もの中にある真実の自己が具体的に人の形をとった姿である。その存在は、①苦しみの原因になる煩悩、②善悪のあらゆる行為、③行為の内容に応じて受け取る結果、そして、④行為が結果に表れるまでのあいだ潜在意識に蓄えられている心の傾向、この4つの障害に決して触れられることがない存在である。 これが『ヨーガ・スートラ』が示す、”至高の存在” つまり神の定義です。神というのは、人間が決して見ることも聞くこともできず、人間とはまったく違う世界に生きていて、意志一つでこの世を幸福にも不幸にもできるような存在ではありません。そのような支配的絶対神は、『ヨーガ・スートラ』には登場しません。それどころか、そうした存在の必要性すらありません。 人間は運命という考え方を持っています。どうして自分がいろいろな出来事に遭遇し、それに翻弄されることになるのか、自分では分からないからです。そのとき、自分