シベリウスと宮澤賢治 宮沢賢治とシベリウス/銀河とオーロラの共振 宮沢賢治とシベリウスという二人を並べて最初に気付く共通項は、花巻とフィンランドという中央から見れば「北」の辺境というべき地で生まれ育ち、自己の世界を確立させた点だろう。 賢治が生まれたのは首都東京から500キロほど北の岩手県花巻という街。大きな商店を営む父親は町の名士で、そこの長男として生まれ、妹と弟がいる。近郊の大都市盛岡の高等農林学校に進むという恵まれた教育を受けながら、父親の反対を押しきってドロップアウト。東京にも何回か出たものの、最終的には故郷である花巻で創作に励んでいる。 一方、シベリウスが生まれたのは北欧フィンランドの首都ヘルシンキから100キロほど北のハメーンリンナという中都市。父親は医師で町の名士で、そこの長男として生まれ、姉と弟がいる。首都ヘルシンキの大学で法律を学ぶという恵まれた教育を受けながら、父