本当にとまらなくなってきました。 萩尾望都と神の問題。これで最後にしたいのですが、やはり、主人公ジェルミをあそこまで苦しめたグレッグ・ローランドのことに触れないわけにはいきません。 はじめこのタイトル「残酷な神が支配する」は、このグレッグを指すのかと思えるほど、彼の残酷ぶりは徹底しています。 イグナチオ・ロヨラの有名な『霊操』という書物(16世紀、イエズス会の創立者、深い神体験から魂を養う方法論を記した本)に、悪魔に対処する具体的な記述が出てきましたが、それを想起させるほど、グレッグの悪魔ぶりは、徹底していました。 いわく 「敵である悪魔は、腕力は弱いが執拗さを持っているという点で、婦人のように振舞う。なぜなら婦人の常として、男子と争う時、男子がいかめしい顔をしていると、勇気を失って逃げるが、反対に男子が勇気を失って逃げ出すとき、婦人の怒り、復讐、荒々しさは非常なものでとどまる所を知らない