地獄変について、特に良秀の娘についていくつか疑問があります。 まずは十二節と十三節の、良秀の娘と何者かが争っているらしいところへ丁度"私"が通りかかるというエピソードについてです。 自分には、地獄変の話の中でこのエピソードだけが浮いて見えて仕方がありません。 実際、このエピソードはその場限りの出来事で"私"にも全く事情がつかめぬままになっていますし、最後まで直接的に種明かしがされることはありません。 はっきり言ってこのエピソードを丸々抜いてしまっても話としては成り立つように思います。 このとき部屋の中では誰が何をしていたのでしょうか? また良秀の娘がうろたえ事情を話さなかったのにはどのような訳があったのでしょうか? 次に十七節の、いよいよ良秀の望み通り車に火がかけられるシーンです。 大殿様は良秀に向かって「その中には罪人の女房が一人、縛めたまま乗せてある。」と説明しています。 実際には良秀