■優生学の時代 アーリア人の神話は強力である。 最強の人種にして、文明を担う者、そして、地球の支配者、それがアーリア人・・・だったはずなのに、今では、カスピ海周辺からイランやインドに流れ着いた集団、で落ち着いている。 ではなぜ、それが神話にまで登り詰めたのか? ことの発端は、19世紀、フランスで出版された書「人種の不平等論」までさかのぼる。この中で、著者アルテュール・ゴビノーは、白人が最も優秀で、とりわけアーリア人が一番で、「支配人種」とまで持ち上げたのである。 さらに、ゴビノーは恐るべき警告を発している。 「黒、黄、白の肌の色の違いは、自然が設定した人種の『壁』、だから温血は禁じるべきである。混血で人種の『壁』が崩壊し、文明が退化するから」 混血で、なぜ文明が退化するかわからないが、「黒、黄」側にしてみれば、心穏やかではない。ところが、これを正当化したのが「優生学」だった。 「優生学」は
■哲学者ニーチェの妹 哲学者ニーチェの人生は波瀾万丈である・・・皮肉に満ちて。 正気の時代は無名で、気が触れると「狂気の哲学者」で有名になり、死して後、「ナチスの予言者」となった。 天才画家ゴッホを彷彿させる切ない人生だが、ゴッホ同様、ニーチェに責任があるわけではない。じつは、ニーチェの名声は彼が正気を失った後、偽造されたものなのである。しかも、偽造したのがニーチェの妹だというから、皮肉な話だ。 とはいえ、偽造されなければ、ニーチェは無名で終わっていた。 偽りの名声か、ありのままの無名か? まさに、究極の選択だが、ニーチェが生きていたら、きっと、後者を望んだだろう。プラトンなみに理想論と抽象論を愛した人物だから。 では、「ニーチェ」はいかにして偽造されたのか? ニーチェは、発狂した時点で、哲学者としての寿命は尽きていた。しかも、原稿の多くは未発表だった。このままでは、ニーチェが世に出る術は
■チャコス写本 ユダは、主イエスを銀貨30枚で売った罪で、2000年の呪いがかけられている。今でも「ユダ」は裏切り者の代名詞だ。ダンテの「神曲」によれば、歴史上の裏切り者たちは地獄の最下層を流れる嘆きの川「コーキュートス」に氷漬けにされているという。シーザーを裏切ったブルータス、そして、ユダもその一人だ。だが、ユダの呪いはもうすぐ解けるかもしれない。エジプトで発見された古文書によって。 1978年、エジプトの洞窟で、古いパピルス文書が見つかった。エジプトで古美術商をいとなむハンナは、このパピルス文書を手入れ、一儲けをもくろんだ。ところが、間の悪いことに、転売する前に盗まれてしまった。その後、ハンナはこの文書をなんとか取り戻したものの、買い手はなかなか見つからない。法外な高値をふっかけたからである。 2000年4月、スイスの古美術商チャコスはこのパピルス文書を購入し、アメリカ・アイビーリーグ
■永遠なる神の子 永遠なる神の子、チンギス・ハーンの子孫はこう呼ばれた。ユーラシア大陸をまたぐ広大な支配地、無敵の騎馬軍団が彼らに永遠の支配を約束したかのようにみえた。だが、彼らは神の子ではなかった。 1241年、モンゴル帝国の第2代オゴタイ・ハーンは、遊牧民によく見られる深酒がもとで急逝する。後継者は指名されておらず、モンゴルの主力軍は遠くヨーロッパにいた。訃報を聞いたモンゴル軍はハンガリーの包囲を解いて、あわただしく帰国の途についた。こうして、ヨーロッパは再び破滅から救われたのである。 モンゴル帝国の創始者チンギス・ハーンが死んだ時、帝国がゆらぐことはなかった。オゴタイ・ハーンを中心に、ジュチ家、チャガタイ家、オゴタイ家、トゥルイ家が結束したからである。ところが、3代目になると、創始者の記憶は薄れ、外敵の脅威もなく、チンギス・ハーンの子孫たちは内を見るようになっていた。永遠なる神の子が
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く