エド・ゲインはおそらく映画史に最も影響を与えた人物だろう。彼がいなければ『サイコ』も『悪魔のいけにえ』も『羊たちの沈黙』も作られることはなかった。彼は現代アメリカの悪夢を象徴する存在であり、その無垢だが邪悪な魂は今日もなお生き続けているのである。 アメリカの中北部、ウィスコンシン州の中央に位置する広大な平原の真ん中に、プレインフィールドという人口600人の小さな町がある。「何もない平原」というその名の通り、本当になんにもないところである。視界に映るのはどこまでも続くライ麦畑のみ。住民の娯楽は鹿狩りと、1杯のビールぐらいしかなかった。 1954年12月8日、この町で酒場を営むメアリー・ホーガンという体格のいい中年女性が行方不明になった。シーモア・レスターという農夫が一杯やろうと店に入ると、中には誰もいなかった。おかみを呼べども返事がない。カウンターの中を覗いて仰天した。床が血だまりになってい