高橋昌一郎『理性の限界』という本をパラパラと見てみたのだが、生半可な理解で犯しがちなミスをことごとく犯しているので、何回かに分けてきちんと解説しておく。 まず相対論に関して少し取り上げよう。 司会者 時間と空間が相対的というのは、どのようなことなのでしょうか? 科学主義者 文字どおり、時間や空間も観測者の運動に応じて異なるという意味です。(p134) この説明はなんかポイントを捉え損ねている。相対性原理はアインシュタイン自身の原論文では以下のように定義されている 互いに他に対して一様な並進運動をしている、任意の二つの座標系のうちで、いずれを基準にとって、物理系の状態の変化に関する法則を書き表そうとも、そこに導かれる法則は、座標系の選び方に無関係である(A.アインシュタイン『相対性理論』p20) つまり、相対性原理というのは「どの座標系からみても同じ物理法則でいい」ということである。例えば、