日本での無痛分娩は1割にも満たない。一方、アメリカでは約7割、フランスでは約8割が無痛分娩だ。なぜこんなに違いがあるのか。北里大学病院周産母子医療センター長の海野信也さんに、無痛分娩経験者でライターの髙崎順子さんが聞いた――。 お産は国や歴史的な経緯によって変わる「文化」 【髙崎】アメリカでは分娩の約7割、フランスでは経膣分娩の約8割が無痛分娩、つまり麻酔のもとでお産をしていますが、日本ではその数字は分娩の1割にも満たない6.1%(2016年。日本産婦人科医会)です。なぜ日本では、無痛分娩が普及しないのでしょうか。 【海野】無痛分娩の話をする前に、大前提として確認したいことがあります。それはお産が、国や歴史的な経緯によって変わる文化的な営為だということ。「お母さんが安全にお産をして、赤ちゃんが無事に生まれてほしい」という願いは人類全体で共通しているはずですが、実際の方法は国によって、民族に