2年前に終わっていたかにみえた事件が、再び動き出した。事故米の不正転売問題で、神奈川県警が26日、偽装・転売にかかわったとされる4社の捜索に踏み切った。約3千トンもの事故米が食用に化けていたことを浮かび上がらせたのは、1人の農林水産省職員の目だった。 「なんだ、これは」。昨年9月、ある酒造業者の事務所で、農水省地方農政事務所の職員が1枚の伝票に目をとめた。「米国産 ミニマムアクセス(MA)米」。仕入れ元は米穀業者の名前が記されていた。 国産の加工用米が決められた用途以外に使われていないかを調べる、通常の立ち入り調査の最中だった。輸入米に高関税をかける代わりに一定量の輸入が義務づけられたのが、MA米。これが酒に使われることはあり得ないわけではないが、その場合も地域の酒造組合などを通して供給されることが多く、米穀業者経由のことはほとんどない。この職員は不自然に感じた。 「もしかしたら」。