なぜ林真須美が“犯人”にされたのか 検証「和歌山カレー事件」(1) 「犯人は夏祭りの関係者の中にいる」という前提で、"消去法"による捜査が行われたのである。 1998年7月25日に発生した和歌山毒物混入カレー事件(以下、カレー事件)は、あらゆる意味で異例の事件だった。 地域の夏祭りでカレーライスに毒物を混入し、不特定多数の住民たちを殺傷するという罪質の残忍性。当初の「集団食中毒」から、「青酸化合物混入」、「ヒ素混入」と原因の見立てが二転、三転したこと。限られた地域で起きた事件ならではの住民たちの疑心暗鬼、さらには犯人についての密告合戦。地方の住宅街に住民の数を上回るマスコミ関係者が2カ月以上も居座り続けるという異常な報道態勢。また、事件発生時、保健所や病院が患者に対し適切な処置を行わなかったとして遺族らから訴えられたり、公判で被告人林真須美(正しい表記は「眞須美」)が黙秘したため、弁護団に