タグ

ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/column (8)

  • 政治家を育てる質問

    12月16日の衆議院選挙投票日。テレビ東京の開票特番「池上彰の総選挙ライブ」を担当しました。 放送中から思わぬ反響をいただき、テレビ東京にはいまも再放送やDVDの発売を求める声が寄せられているそうです。 テレビ東京の人たちはもちろんのこと、外部スタッフが総力を挙げて制作・放送したものですから、当然の評価とはいえ、その一翼を担った私も嬉しく思います。 いつも「いい質問ですね」が口癖の私としては、視聴者に「いい質問ですね」と言ってもらえる内容を目指したからです。 ただ、党首や候補者への私のインタビューは、ジャーナリストとして当然のことをしたまでで、これに関する評価は面映ゆいものがあります。 というのも、たとえばアメリカテレビ政治番組なら、政治家に対しての容赦ない切り込み、突っ込みは当然のことだからです。 日なら「失礼な質問」に当たるようなことでも、平然として質問をしますし、質問を受けた側

  • 限られた空間を埋める 東京の驚くべき技

    今週のコラムニスト: マイケル・プロンコ [12月5日号掲載] 数週間前に出掛けた新宿の小さな居酒屋で、私はいつものようにたくさん注文し過ぎてしまった。店は混んでいたが、店員は次々と料理を運んできた。刺し身の皿、おつまみの小鉢、大根の煮物の角皿、かぼちゃの煮付けの浅鉢......。 狭いカウンター席のスペースに収まるように、私は皿の場所を動かし続けた。だが椅子取りゲームのように、いつもどれかがあふれてしまう。最後は店員が手助けしてくれた。彼女は片手で、皿を全部並べ替えて完璧な配置にしてくれた。この店員が極めていたのは、東京の人々に特有の驚くべき技──物を空間にはめ込む技術だ。 東京は、「物を詰め込む」ことが大原則とされる都市。東京人は実に見事にこれをやってのける。行きつけのスーパーでは、買い物籠1つに収まらないほどの品や雑貨を、レジ係がろくに見もしないで整然と買い物袋に詰めてくれる。私に

  • NY地下鉄で死ぬ直前の男の写真が撮られたとき、他の乗客は何をしていたか

    ニューヨークのタブロイド紙『ニューヨークポスト』が火曜、前日に地下鉄駅で起きた事故を報じた。いや、正確には事故になる瞬間を報じたと言った方が正しいだろう。 乗客同士の言い争いで50代の男性がホームから突き飛ばされ、そこに入ってきた電車に挟まれて死亡した。ニューヨークポストが1面で大きく掲載した写真は、ホームに手をかけ数メートル先に迫った電車のほうを振り返った男性の姿を捉えている。タイトルは、「万事休す、線路に突き落とされた男が死に行く瞬間」。 この事件は、いくつもの意味でいたたまれない気持ちにさせる。 まずジャーナリズムの観点から、こんな写真を載せる必要があったのかという点。数秒後に死のうとしている人間の姿を晒すことに、センセーショナリズムを煽る以外の意味があるのか。 もし事故の様子を伝えることが目的だったのならば、文章で説明し、写真は意図的に掲載しないという選択肢もあっただろう。だが同紙

    arajin
    arajin 2012/12/10
    「スマートフォンなどでこの様子を写真やビデオに収めていた人々もいたという。」
  • アマゾンの出版破壊から取り残された日本 | 瀧口範子 | コラム&ブログ | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    人は今も「自炊」をしていると聞くたびに、気の毒で仕方がない。台所での自炊ではない。プリント版の書籍を自分で1ページずつスキャンしてデジタルファイルにし、自家製「電子書籍」として利用することを業界関係者は自嘲気味に「自炊」と呼んでいる。テクノロジー先進国の日当に起きているとは思えない、実に奇妙なできごとだ。 そしてそれを考えるたびに、アメリカでアマゾンがやっている文字通りの出版業界の破壊というか、破壊的イノベーションを思わずにはいられない。振り返ってみると、アマゾンは今やアメリカの出版産業をすっかり変えてしまっているからだ。 最初は、もちろんインターネットで書籍を販売することだった。書店を含め、これだけでもかなり大きなインパクトがあったが、電子書籍時代になって、間違いなくそれが加速化しているのだ。 たとえば、かなり安い価格で電子書籍を売り出したこと。また、自費出版したい作家たちに、

    アマゾンの出版破壊から取り残された日本 | 瀧口範子 | コラム&ブログ | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
  • 既存メディアの限界なのか | Newsweek斜め読み | コラム&ブログ | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    連日多数の人が殺され、それを報道する新聞記者たちも、次々に消されていく。たまりかねた新聞社は、遂に報道の自由を放棄。麻薬密売組織のことを報道しなくなってしまった。 こんなことが、報道の自由を謳歌しているアメリカの隣の大国で起きているのに、日の国内では、大きな扱いにはならない。これに歯がゆい思いをしていたのですが、誌日版10月20日号は、ようやくこの問題を取り上げました。「麻薬戦争に現われた『救世主』ブログ」というタイトルの記事です。麻薬戦争が繰り広げられているのは、アメリカの南隣のメキシコなのです。 この記事には、麻薬カルテルによって殺されたと見られる死体が吊るされているショッキングな写真が添えられています。極めて衝撃的なシーンを撮影した写真ですが、極力グロテスクにはならないように配慮されてもいます。残虐な事件は、写真によって迫真的になるけれど、目を背けたくなってしまう。こんなジレン

    既存メディアの限界なのか | Newsweek斜め読み | コラム&ブログ | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
  • その男、危険につき

    中国当局はなぜこんな失策をしでかしたのだろう。 11月15日までに1552万人民元(約1億8千万円あまり)の支払いを命じられたとされる、中国の芸術家艾未未氏のもとに、その通告からわずか1週間余りでなんと600万人民元を超える募金が集まった。艾氏はこの募金を「借入金」、そして募金者を「債権主」と呼び、「無利子だが1年後に0.01元に至るまで返済する」と公言している。 人ではなく、彼の支援者が呼びかけたこの「艾未未の債権主になろう」活動は、ここ半年ほど彼の周囲を覆っていた暗い気分を一挙に吹き飛ばした。募金額とその募金者数は1日2回、午前と午後に支援者によってツイッターを通じて1ケタに至るまで報告されている。 それらは中国最大のオンライン決済サービスである「アリペイ」や、支援者個人の中国建設銀行口座、さらに郵便送金を通じて届けられる。一時は外国からの送金も考慮して国際的な決済サービス「ペイパル

    その男、危険につき
  • 日本の良さが若者をダメにする | TOKYO EYE | コラム&ブログ | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    今週のコラムニスト:レジス・アルノー 想像してみてほしい----あなたは、日で生まれ育った18歳のフランス人。東京・飯田橋にあるフランス人高校を卒業したばかりで、将来のことを真剣に考えている(フリをしている)。自分の生きる道は、どちらの国にあるのか。フランスに渡る? それとも日に残る? あなたが新聞を毎日読んでいるなら、答えは自明だろう。もちろんフランスだ。 フランスは「joie de vivre(人生を楽しむ)」国だ。国際的で、若々しくて、開放的。世界1の美女に世界1のファッションブランド、世界1の景色とワインがそろっている。 一方で、日は「未来が約束された国」の座から転げ落ちてしまった。高齢化と景気低迷がものすごいスピードで進み、世界での存在感はすっかり失われている。 日にとって、世界はどうでもいいらしい。政治もメディアも自己中心的で、NHKの7時のニュースは国内ニュースばかり

    日本の良さが若者をダメにする | TOKYO EYE | コラム&ブログ | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
  • 恐ろしいのは円高でもデフレでもない | エコノMIX異論正論 | コラム&ブログ | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    14日のロンドン市場では、ついに1ドル=80円台に突入したが、私が資産を運用している大手の外資系銀行のファンドマネジャーからかかってきた電話は「円建て資産を売りませんか」だった。私が「実質実効為替レートでみると、円はまだ安い。この先まだ上がるんじゃありませんか?」というと、彼は「目先は80円を切るかもしれないが、われわれは今が(ドル円の)底値圏とみています」。 名目為替レート(ドル/円 左目盛)と実質実効為替レート(2005年=100 右目盛) それはなぜか、という私の質問に対する彼の答は明快だった。たしかに図のように、インフレ率などを勘案した実質実効レートでみると、今の円相場はここ15年の平均程度だ。しかし彼によれば「それが日経済の実力なんですよ」。名目レートで円が強いように見えるのは、アメリカの物価が15年間に30%以上あがったのに対して、日はほぼゼロだったためで、購買力でみた円の

    恐ろしいのは円高でもデフレでもない | エコノMIX異論正論 | コラム&ブログ | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
  • 1