私たちは危険で恥ずべき時代に生きている 有田 芳生 国連人種差別撤廃委員会の日本審査がスイスのジュネーブのパレ・ウィルソン(国連人権高等弁務官事務所が入っている建物)で行われたのは8月19日、20 日。その傍聴を終えた私はポーランドのクラクフへ向った。市の中心部から少し離れたところにシンドラー博物館がある。ユダヤ人約1200人をホロコースト から救った「シンドラーのリスト」で知られる人物の名前を冠した戦争博物館だ。ナチス・ドイツがポーランドに侵攻したのは1939年9月1日。第2次世界 大戦の勃発として世界史に記録されている。 クラクフの中央広場にはナチス党のシンボルであるハーケンクロイツの垂れ幕があちこちに掲示された。レジスタン スの武器など、博物館の展示をたどっていると、あるポスターに眼がとまった。そこには「ユダヤ人はシラミだ」と書かれていた。ナチスが市電や公園に掲示し た「ユダヤ人お断