明治時代に来日したオーストリアの音楽家ルドルフ・ディットリッヒが、古代に真間(市川市)に住んでいたと伝えられる美女をモチーフにした「手児奈(てごな)・マーチ」を作曲し、約100年前のその楽譜がウィーンの国立図書館に保存されていることが分かった。同市在住の市川交響楽団協会理事、桑村益夫さん(80)が知人を通じて楽譜を入手し、演奏会を企画している。 ディットリッヒは明治政府に招かれて1888年に来日。上野音楽学校(現東京芸術大学)の教授を務めた。6年後に帰国するまで、和楽に深い関心を持ち、三味線の師匠とも親しかったと伝えられる。 桑村さんは昨夏、日本とオーストリアの交流史を記した本を読んだ。ディットリッヒが帰国後、「手児奈・マーチ」を作曲。コンサートを開いたとの記述があった。和楽をイメージした旋律が大好評でアンコールに応えて4度演奏したという。 手児奈は伝説の美女だ。7世紀から8世紀初頭の人物