「百人一首」の全歌人と歌を書いた全国的にも極めて珍しい「百人一首絵馬」(江戸時代後期)が、歴史に憩う橿原市博物館の企画展「百人一首の世界」で公開されている。全歌人と歌を書いた絵馬はほかに兵庫県宍粟市の御形(みかた)神社の絵馬だけという。 絵馬は、横に長い扁額(へんがく)形式。大小14の木製の扁額に持統天皇や山部赤人、柿本人麻呂ら百人一首の歌人の姿と歌がすべて書かれている。弘化(こうか)3(1846)年の制作で、大きい額は縦46センチ、横182センチ。歌人の顔は後世に失われたものが多いが、衣装などが色彩豊かに描かれている。 橿原市指定文化財で、市内の牟佐坐(むさにいます)神社の拝殿に飾られていたが、平成17年に市に寄贈。20年から3年かけて絵の剥落止めなどの修復作業が行われた。絵馬に残る記録から、南岳(なんがく)という絵師が描き、地元の人たちが神社に奉納したらしい。 よく知られた小倉百人一首