7月下旬に県内を襲った記録的な大雨で、秋田県大仙市では住宅の床上・床下浸水などが820棟以上に及んだ。同市では家財道具の片付けや復旧が進められているが、泥水につかったアルバムなどの修復作業も行われている。その中心が、同市立公文書館の職員、蓮沼素子さん(42)。大仙市の公文書館が今年5月に開設され、保存関係を担当する専門職員に採用された。現在は学習院大学大学院でアーカイブズ学を専攻しつつ、同館で破れた古文書などを和紙で繕う「文書のレスキュー隊」として働いている。「住民の思い出を守りたい」と懸命だ。 8月1日午後、同市立の公文書館「大仙市アーカイブズ」の一室は、泥が付いたままの写真やアルバムなどで埋め尽くされていた。扇風機で乾燥させている最中で、土の臭いが充満している。 エタノールを吹きかけて消毒し、キッチンペーパーで文書の水分を吸い取る。地道で細かい作業だ。蓮沼さんは「水につかった資料が腐っ