江崎グリコは4月3日に基幹システムの切り替え作業時にトラブルが発生し、物流センターにおける出荷データなどに不具合が生じた。同社製品のほか、江崎グリコが販売を請け負うキリンビバレッジの「トロピカーナ」なども出荷停止を余儀なくされている。障害発生から2カ月以上たってなお、主力商品の出荷を再開できない深刻な事態だ。 ユニ・チャームでも5月上旬に基幹システムを更新した後にトラブルが起こった。大規模な混乱にはならなかったが、公式通販サイトでは6月中旬時点で、紙おむつなどの到着に1週間~10日ほどかかる状況だ。ユニ・チャーム上席執行役員の上田健次ESG本部長はこの遅れについて、「小売店向けの出荷を優先して正常化させたため」と説明する。 3社のトラブルはともに基幹システムの障害を発端としたものだが、今後同様のトラブル事例が増える可能性は高い。日本独特の商習慣など複数の原因が絡み合い、システム刷新を難しく
悩み:昔は薄給に耐えたのに、年を取ったら若手厚遇…納得がいきません 上田さん、初めまして。私は現在59歳サラリーマンで、若く感じていた自分がいつの間にかこの年齢になっていました。今後の生き方や選択肢について相談したいと思っています。 最近、政府主導の企業改革や賃金上昇、人的資本への投資などの対策が進んでいますが、それにもかかわらず何かが足りないと感じます。若いころは薄給でしたが、「おまえもいつかは給料がぐんと上がる」と言われて、サービス残業や休日出勤も我慢してこなしてきました。そこそこの昇給はしましたが、50代以降の私はかつての先輩たちの境遇と比べるとはるかにレベルが低いです。 会社としては若い社員を厚遇し、新卒社員の初任給は毎年のようにどんどん上がります。まだ社会人になりたてで何もできない人に好条件を出す。一方、長く勤めてきた私に対して、心ない役員が「おまえは給料が高い」と言ってきました
かつて、応急仮設住宅といえば上の2種類だった。ここに新しい仲間が加わった。本コラムで繰り返し紹介し、また本稿前編でも言及した「トレーラーハウス型」の仮設住宅だ。 “防災の鬼”渡辺実氏が説明する。 「歴史が大きく動いたのは熊本地震でした。初めてトレーラーハウスの被災地活用に対して国の予算がついたのです。このときは『福祉避難所』としての運用でした。高齢で介護の必要な方や妊婦さんなど、配慮が必要な方々のための公的避難所としてトレーラーハウスが使われたのです」 30台のトレーラーハウスが約1カ月間運用され、被災者の生活を支えた。 「そして、今年7月の西日本豪雨では、ついに災害救助法に基づく『応急仮設住宅』としてトレーラーハウスの運用が実現したわけです」(渡辺氏) 「プレハブ仮設と張り合うつもりは毛頭ない」と渡辺氏は言う。 記述の通り、1カ所に大量の戸数を建設することに関して、プレハブ仮設は実に考え
健康を意識している人もそうでない人も、たやすく減塩できる方法を提案する必要がある、と考えた熊本県立大学の杉本真依子氏らは、食事に用いる道具を工夫することにより減塩が可能かどうかを検討することにしました。 選んだ道具は穴あきレンゲです。穴あきスプーンとも呼ばれ、冬の鍋料理の季節には100円ショップでも販売されることがあり、比較的容易に入手できるようです。鍋料理の具をすくうためや、麺類の細かな具材を残さず食べるために用いられています。著者らは、「塩分含有量の多いラーメンを穴あきレンゲと箸を用いて食べると、普通のレンゲと箸を使って食べる場合に比べ、摂取するスープの量が減り、塩分摂取量も減る」と仮定しました。 研究の対象は、急性疾患または慢性疾患を持たない健康な男子大学生で、減量のためのダイエットや減塩食摂取を行っていない、非喫煙者を選びました。男子大学生は比較的、健康な生活習慣に対する関心が薄く
インターネット上の意見に政府の圧力がかかるのは70カ国中53カ国、監視干渉行為をしない国は日本を含めてたった4カ国。ネット上の自由に迫る「影」は着々と広がり続けています。その実情とは。長年情報通信政策に携わり、現在は大手プロバイダーのIIJ副社長である谷脇康彦氏の著書『教養としてのインターネット論 世界の最先端を知る「10の論点」』から一部を抜粋して紹介します。 インターネットはどう生まれ、どう使われてきたか 1960年代のインターネット草創期。インターネットの普及は世界の人々の間で情報や知識を共有することを促し、透明で民主的な社会の実現に貢献するという期待が利用者の間に確かに存在していました。これはインターネットの基本精神である「自律・分散・協調」という面に依拠するものでした。 具体的には、インターネットを構成するルーターなどの機器は民間の人たちが「自律」的、つまり自由に設置・運用し、あ
総務省は6月30日、サイバー攻撃を受けた富士通に対し、異例の行政指導に踏み切った。「通信の秘密」を守る企業であるにもかかわらず、サイバー攻撃対策がずさんだったからだ。社会インフラを担う企業に対し、政府がガバナンス(企業統治)の不備を厳しく問うケースが増えている。
国内外に約100店舗を展開するゴーゴーカレーグループ。主力ブランドの「ゴーゴーカレー」は、2004年に新宿に1号店がオープンすると「金沢カレーブーム」の火付け役となった。 07年には米ニューヨークのタイムズスクエアに出店し、米国進出を果たした。M&A(合併・買収)や事業承継に力を入れ、金沢の老舗インドカレー店「ホットハウス」や、金沢カレーの元祖「ターバンカレー」など、地方のカレー屋の運営を引き継いでいる。元の店名や味を引き継ぐ形をとり、同グループの経営ノウハウによって店の継続やチェーン展開を促進。多様なブランドを持つ「カレーの専門商社」として事業を拡大している。 創業者の宮森宏和氏は創立20年を迎える今年3月、IT(情報技術)畑出身の西畑誠氏に代表取締役社長を委譲し、代表権のない取締役会長に就任することを発表した。さらに、4月6日には上場している包装資材製造企業、日本製麻の代表取締役社長に
毎日新聞の調査によれば、岸田政権の支持率は現在36%。支持率が40%を割り込むというのは大ピンチである。政権内の危機感は強く、9月に入って僕はある政府関係者に呼ばれ、「旧統一教会問題の対応に失敗してしまった。どうしたらよいのか、官邸で総理に話してほしい」と頼まれた。関係者によれば、岸田氏は記者やジャーナリストとのつきあいがあまりないという。そんなわけで近日、僕は岸田氏に会って話そうと思っている。 自民党の茂木敏充幹事長は、今後は一切関係を持たないことを党内に徹底する、と述べたが、これでは十分ではない。国会を開き、与野党で協議し、こうした問題が二度と起こらないように厳しい立法をすべきである。僕はそれを岸田氏に伝えるつもりだ。 それにしても、なぜこの問題は起こったのだろうか。霊感商法をはじめ、旧統一教会の反社会性は知られていたはずだ。にもかかわらず、なぜ政治家は関係を絶てないままなのか。
続きを読む 「日本はもっと素晴らしい国のはず」 「日本はもっと素晴らしい国のはず」 筆者も5月下旬から6月にかけて赴任先のニューヨークから日本に一時帰国し、14日間の自主隔離期間を過ごした(関連記事)。このときにも「海外から来た人=コロナウイルスを運んでくる人」という差別を日本国内で少なからず感じた。日本に一時帰国する前にワクチンも接種し、飛行機に乗る前と後に検査を受け、陰性の結果を得ているにもかかわらず、だ。科学的に見れば、ワクチン接種も検査も受けていない日本在住者よりも安全性が高いと言えるのだが……。 米国ではワクチン接種の普及が急速に進む5~6月ごろまで、飲食店を閉鎖したり店内飲食の人数を制限したりするなど日本に比べて厳しい新型コロナ対策を実施してきた。接種人口が増えて規制が緩和され始めてからは、例えば野球場では接種者と非接種者の観戦エリアを分けるなど、「接種」が一つの基準になってい
認知症を患う母にどうしても会っておきたくて、ゴールデンウイークの休暇を利用して米ニューヨークから実家のある千葉市に一時帰国した。 帰国する飛行機の出発前72時間以内のCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)検査の陰性結果に加え、ワクチン接種の証明書を携えての帰国。到着した成田国際空港での唾液による検査でも陰性と出た。それでも日本への渡航者全員には到着翌日から14日間の自主隔離が求められる。 帰国者側からすると「検査をしていない日本在住者に比べてむしろ安全なのでは?」と感じるのも本音。だが一方で、東京五輪・パラリンピックを約2カ月後に控える日本政府の意気込みも感じられ、当然ながらすべての要請に従う前提で帰国を決断した。 ところが成田到着直後から筆者に突きつけられたのは「穴だらけの水際対策」という現実だった。 帰国者への水際対策はニューヨークの空港(実際には近郊のニュージャージー州ニューア
2020年5月27日掲載の、米国在住のウイルス免疫学者、峰宗太郎先生に「緊急事態宣言解除『現状で確実に言えること』を専門家に聞く」ことから始まった本シリーズ、あれからほぼ1年が過ぎました。昨年末には連載をまとめた新書を出すこともできました。ご愛読に深く感謝いたします。 さて、残念ながら新型コロナ禍はまだ収束していない、どころか、年末年始の第3波以上の「第4波」の到来がまさに始まっています。 いったいいつまで続くんだ――。「うちの国は、どうにもこうにもうまくいっていないんじゃないか」という気分が自分の中にもあり、そういう意識でニュースを見ていると、ますますイライラが募ってくる。 ・緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が何度も「場当たり的」に出され、効果が薄れている。 ・先進国なのにワクチンの接種率が低い。接種の仕組みも整っていないらしい。 我々の中にこうした不安、不信がわだかまりつつあるのもや
思っていても口に出せない言葉がある。 口に出せない言葉が人生の半分を動かしている、と言い直しても良い。 あるいは、世界の半分は口に出せない言葉でできているということなのかもしれない。 たとえば、テレビの生放送のスタジオは 「オリンピックって本当にやるんですかね?」 という誰もが思っているこの言葉を、事実上の禁句に指定することでなんとかQシート通りに番組を進行させている。 理由は、この質問が放送局の痛いところを突いているからでもあれば、答えを持っている人間がスタジオの中に一人もいないからでもある。 本当は誰もが 「こんな状況でオリンピックなんかできるのだろうか」 と思っている。 私もそう思っている。 つい2日ほど前にも、高校時代からの友人と電話をしている時に、そんな話になった。 「お国は本気でオリンピックをやるつもりなんだろうか」 と私が水を向けると、そいつは 「オレのいやな予感の話をするか
塩野義製薬を含む日本の製薬会社のワクチン開発が欧米勢より遅いのはなぜでしょうか。 手代木功・塩野義製薬社長(以下、手代木氏):ワクチンや治療薬、診断薬を開発するフットワークが重いのではないかと見られていることについては、真摯に受け止めないといけないと思っています。 もちろん、日本の製薬会社は規模が欧米に比べて小さいとか、バイオ医薬品の潮流に全体として乗り遅れたとか、そういった理由もあるでしょう。ただ今回、欧米で接種が始まっているメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンにしても、ウイルスベクターワクチンにしても、日本にそうしたプロジェクトをやるベンチャーや製薬会社がなかったのは、産官学でそうした基盤を育ててこなかったからです。その点については、欧米に学ぶところは多いと思います。 また、緊急事態だという割には、緊急時に備える制度が不十分という点もあります。米国では、Emergency Use
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