尖閣、竹島「奪還」運動をする人々の「情熱と孤独」 ~中国・韓国「ネット愛国者」を訪ねて~ 【前編】 安田浩一(ジャーナリスト) 「李明博! 聞こえるかっ! 李明博!」 男が大声で叫ぶ。 「出てこい、李明博! ここに来て俺の話を聞けーっ!」 両手を天に突き上げ、拳をぶるぶると震わせながら男は怒鳴りまくった。鬼のような形相だ。 「オマエは誰のための政治をおこなってきたんだ。金持ちのことしか考えていないんだろう!」 韓国・ソウル中心部に近い青瓦台(大統領府)の前。任期切れも近い自国の大統領に向けて、洪貞植(62歳)は、たったひとりで抗議活動を始めた。 「李明博、ふざけるな! 俺はオマエを許さないぞっ!」 たちまち血相を変えた大勢の私服警察官が駆けつけ、洪の体を四方から押さえつけた。 「離せ! 離せ!」 洪は必死の抵抗を試みるが、屈強な警察官たちに押さえつけられてはどうにもならない。 まるで"FB