実在の人物をモデルにすることが多い近年のNHK「連続テレビ小説」では、否応なしに“過去”の物語から現代につながる何かを模索せざるを得ない、一方向のベクトルが存在している。逆にモデルとなる人物を持たない作品では“現代”を描ける一方で、『あまちゃん』以降に明確に“現代劇”に徹した作品はほとんどなく、たとえば『まれ』や『半分、青い。』こそ終盤で物語が現代に追いついたとはいえ、それはやはり主人公の少女期からの年代記という「朝ドラ」の基本的スタイルに忠実に則った上での結果論に過ぎないわけで。 それを踏まえると現在放送中の『おかえりモネ』は近年の朝ドラの持つ流れからは少し異なるスタイルを持っていると思える作品だ。主人公が高校を卒業した2014年から数年間の物語という、いわばいくつもの人生の選択が待ち受ける「青年期」だけにフォーカスし、2011年の東日本大震災という大きなターニングポイントとなる過去への