「もしあのまま私ら一緒にいてたら、どないな人生があったんやろか」 「そないなこと、考えてもしゃあないがな」 「そうですな。今ある人生、それがすべてですなあ」 とうとうこのドラマは、こんな境地にまでたどり着いた。『おちょやん』(NHK総合)の最終週「今日もええ天気や」では、千代(杉咲花)が道頓堀に凱旋、舞台女優として復帰する姿が描かれた。『お家はんと直どん』の台本に自ら加えたこの台詞は、千代が苦しみ抜いて、立ち上がった先に見つけた答えだ。 失ったものを嘆いても、時は戻らない。誰かを恨んで生きても、幸せにはなれない。辛いことも悲しいことも全部ひっくるめて、あの時があったから今がある。そして今ここにある人生こそが私のすべて。これが、千代の出した結論だった。 21週・22週では、継母・栗子(宮澤エマ)との再会で千代の人間としての再生、ラジオドラマ『お父さんはお人好し』の成功で女優としての再生が描か