耳の聞こえない「現代のベートーベン」として話題になった佐村河内守氏の作曲者が別人だった事件は、大きな反響を呼んでいる。いまだに彼が出てこないので全容は分からないが、ゴーストライターだった新垣隆氏が記者会見で事実を認めたので、佐村河内氏が「偽ベートーベン」だったことは間違いない。 その音楽的な内容については伊東乾氏が解説(「偽ベートーベン事件の論評は間違いだらけ」)しているので、ここではメディアがなぜ彼にだまされ、結果的に嘘を宣伝したのか考えてみよう。 NHKスペシャル始まって以来の大スキャンダル 中でも責任が重大なのは、2013年3月に放送されたNHKスペシャル「魂の旋律~音を失った作曲家~」である。 番組では演奏会でのスタンディングオベーションの様子が描かれ、佐村河内氏がインタビューに答えて、「音はまったく聞こえないので絶対音感で作曲している」と言う。 もちろん、これは嘘である。新垣氏の