まくら 試しに「世界文学全集」と銘打たれたものに手を出してみようかな、で、まあゆっくり読んでゆこうかなと少し前から思っていた。しかし反面、収録作は全集でなくても文庫などで読めるものが少なくないし、訳もいろいろあるし、あるいはこれが一番の理由なのだけど、しようがないとはいえ、「世界」と言いつつ英・仏をはじめとした「欧米」ばっかりなんだよね…なんて思いあぐねていた。だから、この全集が店頭に並びはじめたときには目に止まったし、それでいながら手を出せずにいた。当時付き合っていた彼女との破局が訪れたのはそんな折だった。 たしか第6回配本あたりが書店に並んだ頃のようだったように記憶している。月に1冊ほどのペースで読むことにすれば「とりあえず2年間は生きる理由ができる」などと大袈裟に思いなしたおれは酔狂にもこれに手を出し、しかし実のところ「読破してやるぜ!」といった前向きな気概などはなくて、いま思うと、