“ここに一枚の写真がある。”そんな静かな書き出しに誘われてこの写真を目にした時には、この構図、この画角、太陽の位置、山の稜線、銃の角度、兵士の影に、ここまで深い意味が含まれているとは想像できなかった。ましてや一人の男の生きた軌跡が、陰影まで刻みこまれているとは… 記事の詳細はこちら 「崩れ落ちる兵士」 ー それは写真機というものが発明されて以来、最も有名になった写真の一枚である。中でも、写真が報道の主要な手段となってから発達したフォト・ジャーナリズムのジャンルにおいては、これ以上繰り返し印刷された写真はないとも言われてきた。 スペイン戦争時に共和国軍兵士が敵である反乱軍の銃弾に当たって倒れるところを撮ったとされるこの写真は、どこまでも雄弁であった。やがて崩壊するスペイン共和国の運命を予告するものとなり、実際に崩壊してからは、そのために戦った兵士たちの栄光と悲惨を象徴する写真となって世