一昨年3月11日の東日本大震災で甚大な津波被害を受けた岩手県陸前高田市の復興現場から1台の携帯電話が見つかった。 持ち主は津波の犠牲になった同市職員、福田晃子(こうこ)さん=当時(54)。 大量の海水をかぶったはずの携帯電話は電源が入り、そこには当日のメールが残されていた。 「私は大丈夫、まだ揺れている」「大丈夫? 私たちは公園に避難中」。 震災から2年近い時間を経て家族の元に戻った遺品は多くのものを語りかけた。 ■電源が入った 福田さんの携帯電話は陸前高田市民会館の解体現場にあった。 今月15日、作業員が1階部分で見つけたと記者に手渡したものだ。 壊滅的被害を受けた同市中心部では、市役所や体育館などの解体作業が今も続いている。 市指定の避難先だった市民会館には大津波が襲い、多くの死傷者を出した。 作業現場では、今もカメラや腕時計などが見つかっている。晃子さんの携帯電話もその一つだった。